素材感を意識して、鳥居と石畳の参道をつくる – 1/35でメカトロウィーゴをつくる: 5

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さて、えらく間が空いてしまったが、お稲荷ィーゴのつづき。今回は、神社には欠かせない鳥居と、土台となる参道の石畳について。
1/35の神社なんてのは当然市販キットなどある筈なく、基本的にはプラ板工作である。


鳥居

鳥居には形状や素材、色などさまざまなバリエーションがあるが、ウィキペディアによると、今日に於いてはそれらは寄進者の好みによるところがあり、稲荷だからこの形、八幡だからこの形、と厳密に紐づけられるものではないらしい。よって、専ら立体物としての見栄えで考える。

まず、色はアクセントとして朱塗りにしたい。となると素材は木か樹脂だが、敢えてチープな樹脂鳥居を再現する理由もないので、ここは木で。
形状は大別すると、直線で構成された、シンプルで素朴な神明鳥居系と、建物で云う屋根にあたる笠木に反りがみられる装飾的な明神鳥居系がある。
工作的には、神明鳥居だと円柱同士の接合が難しく、明神鳥居では笠木の反りや、その直下の島木の表現が難しい。

神明鳥居と明神鳥居
多分、日本一有名な神明鳥居であろう靖国の大鳥居。数的には右の明神鳥居の方が優勢らしい。

そして寸法。ご存じのとおり、鳥居のサイズは千差万別ではあるのだが、全くの野放図と云う訳でもなく、尺貫法に基づく定番の寸法が存在し、柱の太さを基準に6寸サイズ、と称したり、柱の高さを基準に8尺サイズ、と称したりするようだ。[1] [2]

今回は、ベースに用いるウェーブのT・ケースSやウィーゴとのバランスから、荒川堂の5寸サイズを基準に、細部の比率はイノネの図解から割り出した。
プラ材を用いた基本工作で作れるが、ポイントはふたつ。主柱のテーパーと笠木の表現である。

明神鳥居の柱は上に向かって徐々に細まり、上端で下端の概ね9割程度の太さになる。[3]
今回はスケール換算で根元で4.1mm径となるので、エバーグリーンの4mmプラパイプを使用。これの中に2.4mm棒を通した状態で電動ドリルに咥えさせ、回転させながらヤスリを当ててテーパーを付けた。

明神鳥居の笠木と島木
笠木は断面が五角形なうえに、左右端で上に反る。製作上一番の難所。

そして、一番難儀なのが、笠木である。写真の通り、断面形と反りの所為で、他の箇所のようにサイズに応じたプラ材を切りっぱなしでは作れない。
器用な方なら、大きめの棒材から削り出せばよいのだろうけど、私には無理なので、細分化して精度を出した。
具体的には、五角形断面をひとつの四角形と二つの三角形に分けてつくり、反りの部分は最も太い四角形のパーツをあらかじめ曲げ、それに沿わせるように2本の三角柱を貼ると云うもの。

1/35明神鳥居の笠木断面の再現
文章だけだと複雑そうだが、写真にすれば一目瞭然。
いきなり均等な五角断面を削り出すより遥かに簡単。

表面は多少くたびれ、ささくれた木の雰囲気を出すために、全体に120番のペーパーを繊維方向に軽く当てている。これが単純ながらもなかなか良い感じなのだ。

1/35明神鳥居の木質表現
1/35で鳥居を作る人はあまりいないかもしれんが、欧州の田舎にある木製電柱などにも応用は利くのでは?

本体の朱赤は、Mr. カラーのRLM 23レッドに原色オレンジを少々、黒はおなじみの黄ばんだ黒ことRLM 70ブラックグリーン。

1/35明神鳥居の塗装
奥のウィーゴと同じ朱赤を塗ったものが、風雨で色が落ちてオレンジ色っぽくなったと云う想定。

参道

1/35石畳の素材自体は比較的恵まれているが、如何せんヨーロッパのそれのパターンで、神社の参道によくある1枚の面積が広いタイプのものは見つけられなかった。
まあ、そんな複雑なものでもないのでプラ板細工である。
サイズ感がよく判らなかったので、実際の石屋さんのサイトをみてみると、参道用で一般的な石畳は30cm×60cm規格らしい。
両脇の縁石はサイズが色々あってよく判らないので「参道 石畳」で画像検索してみると石畳の半分~1/3くらいの幅のものが多いようなので、今回は半幅としてみた。

実在する参道の石畳
実在の神社の写真。色々なパターンがあるが、見慣れた感じのする縁石のバランスはこれ。

製作は至って王道な作り方で、プラ板に溶きパテを塗り、生乾き状態で歯ブラシを叩きつけて表面の凸凹をつけてから切り出している。
以前の牛の毛並と同じ技法だが、牛の場合は歯ブラシの毛先から僅かに糸を引くくらいの状態で叩いて毛羽立たせて毛並感を狙っているのに対し、石畳は毛羽立たないくらいまで乾いてから叩いて風雨で穿たれた感じを狙う。

1/35の和風石畳のテクスチャー
敷石サイズに切り出したら、120番のヤスリでエッジを多少丸める。

切り出した石畳はわざと隙間を開けたり僅かに傾かせて配置する。前掲の深志神社の写真のように、年季の入った石畳はこうした微妙な不揃い感がポイントになると思う。

実在する参道の石畳
古びた感じにするためわざとガタガタに配置。均一にぴったり並べると、まっさらでお金持ちな感じになる。この辺は演出意図によって加減するところ。

石と云えば灰色、なのだが、今回は少し年季の入った雰囲気にしたいので茶色系に振る。一口に茶色と云っても色々あるが、自然界の色彩は概ね修正マンセル10YR付近に色相が収斂 (しゅうれん) しており、自然な風合いを狙うならこの色相を狙うと良い感じになる。

1/35の和風石畳の色調
修正マンセル10YR 5/1近似で塗装。前掲の深志神社よりも手入れが行き届いておらず、風化や土埃の堆積が進んだイメージ。

両脇の砂利部分は、鉄道模型用のバラストシートを使用。ここは、やや石畳より明るめにする分、色相をやや黄色寄りの2.5Y付近にする。
これはナチュラルハーモニー配色と云い、明度の異なる2色を組み合わせる際、明るい方の色相をやや黄色味に、暗い方をやや青味に寄せると自然な印象の配色になると云うもの。この配色は印象が弱いものの視覚的な違和感がきわめて少なく、このように自然素材の表現に用いるには非常に便利な配色法である。

1/35の砂利の色調
砂利に用いたバラストシートは、裏面に糊が付いたシート状になっており、非常に使い勝手が良い。

基本色の上から、苔とテカリの表現を加える。モデラー的心情では凸部に明色を置きたくなるが、人がよく通る場所では凹部に土埃がたまって白っぽくなっているパターンも多い。相対的に凸部が暗く見え、また人の足に磨かれてテカリが出る。

熊本城の石畳
熊本城の石畳。凹部にスミイレしたように土埃が溜まっている。

この凸部のテカリと色調を表現するのに、タミヤエナメルのメタリックグレイを薄くドライブラシしている。
あんまりクッキリさせるとウソ臭くなるので、あくまでアッサリと。

1/35の和風石畳の色調
凸部が僅かにテカっているのが判るだろうか?

そして、目地には同じくタミヤエナメルのカーキを流し込み、敷石の縁の部分にもじんわりと染み込ませ、薄く苔むしているように演出。カーキ単色では黄色系なのだが、色相10YRの石畳と合わせると、相対的に黄緑に見えるのだ。

1/35の鳥居と参道
鳥居と参道の全景。特定のモチーフとした神社はないが、なんとなく「ありそう」な佇まいでしょ?


作った後で気付いたのだが、ちゃんと情景仕立てで模型作ったの、もしかしたら初めてかもしれない。ターンエーウィーゴは芝敷いただけだったし。
ウィーゴ作ってると、普段やらない工作に色々手が出せて良いね。一作つくるごとに視野が広がる気がする。


参考ウェブサイト

写真引用元

全て敬称略。

  1. 由良之助 | | 返信

    こんにちは由良之助です。お誘いをいただいていた沼の会の工作会にようやく参加できたので(春園燕雀様とはすれ違いになりましたが)その報告です。

    この日の為に眼鏡のレンズを新調し、10分前に工作室に到着してしまいましたが当然誰も居りません・・と思ったらきのこ様は既にスタンバイ中でちゃんと黒幕をやっておりました。
    工作会は初参加なので自己紹介でもさせられるのかと不安になり(コミュ障の為)、ここはひとつウィーゴ稲荷を拝んで気を落ち着かせるつもりでしたが既に鹿児島の空の下。そこで天龍龍田を見つめてドキドキしていましたが、なんとなくメンツが揃うとゆるゆると製作に突入してしまいました。聞きしに勝るゆるさで、こちらが肩に力が入り過ぎていたようです。
    オタクトークやステマトーク(?)が賑やかに交わされたかと思えばフッと静まって集中したりとメリハリがありリラックスできる環境でした。
    特にジャンルやテーマの縛りが少ないこと等ゆるさが魅力でありますが私にとって何より良いのは悪口罵詈雑言で盛り上がるようなことが無いというところで、それはお酒の席でも変わることはありませんでした。凄腕モデラーは人格破綻者か?という話になっても困った人がいるものだという程度でしたし『ウチのR工廠さんや燕雀さんはそんなこと無いのに・・』という声もあり、誇らしいことです。若きエースのK-5様も折り目正しい少年でありました(モデラーとしての将来に疑いはありませんが『彼は今年受験の筈だが大丈夫か』と心配する大人の声が酒の席でチラホラと・・)。
    印象に残ったのはほぼ全員が『普段の生活では艦船モデラーという人には全く会ったことが無い』と言っていたことです。実際そうだと思いますし私も同様ですし『ネットを通じてこのように集まれるのは有り難い』という言にも全く同感でありました。
    模型サークルというと掟が厳しいとか人間関係が・・というイメージがあって敬遠していたのですが、信頼する方(春園燕雀様のことです)のお誘いということで思い切って飛び込んでみましたが結果は吉だったようで、自由な大人の集まりと感じました。
    端的に感想を申しますと「異常に楽しくてやばい」ということに尽きまして、春園燕雀様には本当に感謝する次第です。
    実際あの日は日々のストレスが浄化されていくのを感じたのです。日が傾き始めたころ『くそう何で仕事なんかしなきゃなんねえんだ』『不労所得が欲しいーーー』『おれは家庭に入りたいと言ったが0.3秒で却下された』『誰か俺にマンションをくれーー』と、退廃的な言動が飛び交いましたが内心おおいに賛同したものです(それぞれの発言者は想像にお任せします)。

    今回は初めてということでこんな駄文を送ってしまいましたが次回以降はそのようなことはありませんのでご安心を。
    しかしウィーゴ稲荷の続きや三笠の記事も上がっているのでそちらについても書いておきたいことがありますのでいずれコメントします。また長くなるとおもいますが適当に読み流してくだされば・・・。

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