各部の薄さを意識して兵装をシェイプアップする – 1/700で初代空母イラストリアスをつくる: 3

| カテゴリィ: 【連載中】1/700で初代空母イラストリアスをつくる

転居も無事終了し、資料も引っ張り出せたのでようやく更新再開である。
今回は兵装関連と艦載機について。アオシマのキットの常ではあるのだが、砲兵装は砲身が太く、飛行機は翼が厚め。これらをブラッシュアップすることでプラパーツっぽさを消してゆくのだ。


翼を薄く、プロペラにはピッチを

まずは主役たる艦載機。ソードフィッシュ・マートレット・フルマー・コルセア・シーハリケーン・シーファイアと種類は豊富だが、1機種あたり2~4機と特定の時期を再現するには物足りない。あと、シーハリケーンは積んでなかったような[1] 加えて、マートレットやシーファイア、コルセアは1941年の大修理以降の配備で艦橋やレーダーまわりがキットの状態とは違うのに注意。

イラストリアスの艦橋: 1941年12月
大修理後の初航海でフォーミダブルと衝突したときの写真。艦橋下段両舷にあった見張所が前面まで回り込んでつながっているのが判る。しかしまあ、運の悪い艦である。

つまり、キットの形状と搭載機種が噛み合ってるのは、ソードフィッシュとフルマーだけ、と云うことだ。折角艦載機の金型起こしたのならスクアもつけてくれれば良かったのに……。

今回はタラント空襲仕様なので載せたのはソードフィッシュのみだが、収納状態と展開状態2機ずつの僅か4機。形状そのものは良い感じなので、もっと入り数を増やすか、別売で新版艦載機セットを出してほしい。

アオシマ新版イラストリアス付属のソードフィッシュ艦攻
基本形に問題はないので、主にプラ成形の都合で厚かったり足りなかったりする箇所を補う感じ。

前述のとおり各翼のフチが厚いので薄く削り、プロペラは純正エッチングパーツを使用。
但し、何故かプロペラは3機分しかないので、今回は使わなかった別の機体用のプロペラで数を合わせている。そのままだと径の違いが気になるが、ねじってピッチをつけてやると意外と目立たなくなる。脚周りはスケールなりの妥当な省略だが、脚柱が太いので削って細く
タラント空襲時のソードフィッシュは後席を燃料タンクにしていたらしい[2] ので、こだわる人はプラ棒などで後席開口部にそれらしくタンクの一部を覗かせてやると良いだろう。

12.7cm高角砲から4.5インチ高角砲を作る

高角砲は砲身の太さの他に、シールドの形状を一部読み違えている。キットのシールドは単純に面取りされた円盤だが、実際には砲身の間は一段凹むのが正しい。

イラストリアス級の4.5インチ連装高角砲
高角砲甲板前面の曲線と側面の直線部分の境に段差があるので、ヴィクトリアス以降の艦のいずれかと思われる。

砲身のスリム化と凹みの再現のため、ピットロードの新WWII 日本海軍艦船装備セット (1) に入っている12.7cm高角砲砲身を使用、砲身の間をそれらしく削って凹みを表現した。

1/7004.5インチ連装高角砲の修正とディテールアップ
日本海軍用の砲身だが、太さとテーパーの加減が程よいので気にしない。

高角砲甲板は前後ともエッチングパーツが用意されており、特に薄さが要る場所でもないのに何故? と思ったが、つけてみて納得。ここは甲板面に消しづらい合わせ目ができるので、そこを丸ごと覆ってしまおうという意図なのだな。

ポンポン砲は25mm機銃から作る

ポンポン砲は全体形状が判る写真が意外となく、知名度の割に形状把握に難儀した。
数値として判るのが銃単体の全長くらいで8連装砲架の全幅や全長が判らず、写真とネットで拾った図面[3] から大まかなバランスを割り出している。キットのパーツは銃身が太いだけでなく全体のバランスもしっくりこなかったので、台座だけ使い本体は自作。

1/700 8連装ポンポン砲の平面図
出典不明で信憑性は何とも云えないが他に資料もなく、これと写真から横幅など各部寸法を決めた。

1/700 8連装ポンポン砲の概略寸法 (含推定)
厳密な縮尺サイズでは無いが、既存の材料を組み合わせて作るならこれくらいのサイズが妥当、と云う目安。

機関部と銃身は高角砲同様ピットロードの武装セット1から25mm連装機銃をベースに切り詰めたものを4つ束ねて8連装に。8連ポンポン砲の特徴は前後にずらした銃身配置なので、外側の4門は銃身先端を切り詰めている。内銃の全長は2.936m、外銃は2.606m[4] で、1/700では内銃が全長4.2mm・外銃3.7mmとなり、機関部自体も微妙に前後にオフセットされているので銃身先端で0.6mm程度差がつくように加工した。

1/700 8連装ポンポン砲のディテールアップ (?)
天龍型、朝潮型、スツーカB-1に続き、遂に装備品まで作ったら新キットが……。

左右の弾倉は適当な流用パーツがなくプラ棒細工。寸法目安は写真のとおりだが、あくまで推定値なので過信しないように。
今ならナノ・ドレッドでズバリのものが出ているので、それを使うのが楽だろう。


このキットについては毎回評価が辛めになってしまうのが心苦しい。引きで見たときの全体形は良い感じなのだが、各部をひとつひとつ眺めているとどこもかしこも微妙に違う、と云った感じ。冒頭述べたようなプラっぽさの解消を意識するだけでも模型としての見栄えは格段に上がるが、それ以上を求めようとするとパッと見の印象以上に愛が試されるつくりと云えよう。


写真引用元

参考ウェブサイト

参考書籍

  • 『世界の傑作機 No. 174 フェアリー・ソードフィッシュ』文林堂、2016年、13頁 ^2
  1. 宮﨑日出雄 | | 返信

    ご挨拶遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
    本年もよろしくお願い致しますm(__)m
    またまた参考になる記事をアップ頂き感謝です。
    ポンポン砲スクラッチは流石!!
    引き続き楽しみにさせて頂きますね♪
    PS:自分の作例では艦橋前ブルワークは時間の都合で再現出来ませんでしたが、本当に悔いが残ります・悲

  2. fake johnbull | | 返信

    私も挨拶が遅れて申し訳ありません、というか燕雀さんのブログへのコメントは初めてなのですが、
    本年もよろしくお願いいたします。

    アオシマの搭載機、燕雀さんが書かれているとおり、艦の時期設定と搭載機の機種が合わないのもさることながら
    機種同士のサイズのバランスがおかしいのも残念なところです。
    例えば、シーファイアのパーツとシーハリケーンのパーツ、シーファイアの方がやや大きいのですが、
    1/48なり1/72で両機を比べれば一目瞭然、(シー)ハリケーンの方が本来はやや大柄です。

    この辺りもアオシマの課題ですねー。

    宮﨑さん はじめまして

    私のツイートをご覧いただいているかもしれませんが、力作に対して、いろいろ重箱突きさせていただき
    失礼いたしました。

    月刊MA本誌ではなく、艦スペの方に掲載だったと思いますが、オリスカニー、素晴らしかったです。
    最初はジム・シャーリーのレジンキットと思いましたが、ドラゴン・アンティータムからの改造だったでしょうか。
    ほとんどフルスクラッチレベルで驚きました。

    今後機会があれば、よろしくお願いいたします。

  3. 宮﨑日出雄 | | 返信

    燕雀さん
    先ずは此方の掲示板を他の方へのコンタクトに使用させて頂く事、お許しください。
    (以下の通り長文になってしまいました・汗)

    fake johnbullさん
    此方こそはじめまして!
    お返事遅れて申訳御座いません。
    1ファンとして直接コメント頂けるとは非常に嬉しい限りです!
    燕雀さんやhosokawaさんを通じていただいた貴重な情報を参考にさせて頂いておりました。
    (自分も皆様に触発されて洋書等の資料を徐々に手に入れて行こうと思っています)
    英国艦はニワカのファンなので、これからも色々とアドバイス・ご指導頂けると幸甚です。
    2月のミンダナオ展示会、11日に訪問予定なのでもしも可能であれば是非ご挨拶させてください。

    艦スぺ掲載の拙作オリスカニーへのコメント、恐縮です・汗
    仰るとおりアンティータムからの改造です。結局流用したのは船体のみなので、他の長船体キットを使っても良かったかな?という落ちがつきます・笑

  4. 宮﨑日出雄 | | 返信

    すみません。
    >1ファンとして直接コメント頂けるとは
    こちらは自分が偽ジョンブルさんのファンという意味です・汗
    (紛らわしい表現でした)

  5. fake johnbull | | 返信

    宮崎さん
    2/11の件、了解いたしました。
    当日はおそらくゆっくり目の時間に会場に向かうかと思います。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    私に対して「ファン」という表現をしていただき、恐縮ですが、
    宮崎さんのオリスカニーを見て、宮崎さんのファンになった人も
    いるのではないでしょうか。

    燕雀さん
    連絡板の様になってしまい、私からもお詫びいたします。

    1. 春園燕雀 投稿作成者 | | 返信

      宮﨑様、偽ジョンブル様
      遅ればせながらあけましておめでとうございます。
      主人不在の間、盛り上げていただき恐縮にございます (笑)
      ミンダナオ会の展示会、羨ましい限りです。
      東京にいたころはいつでも行けると云う余裕で出不精だったのですが、こうして手の届かぬところに来てしまうと、もっとイベントに出て交友を広げておくべきだったと後悔しております。
      掲示板扱い大いに結構ですので、展示会の感想などお聞かせいただければ幸甚です。

      艦載機のアレは、個々に視ると然程変ではないのですが、やはりスピットとハリケーンのように、著名かつよく比較される機種同士であれば気になりますよねえ。
      前世紀のアオシマは設計に加工技術が追いついてない印象でしたが、近年のアオシマは立体物としての魅せ方が上手いものの細かく見てゆくとツッコミが追いつかない感じで、「見栄えのする」作品は作りやすくなった代わりに「実物の印象を捉えた」作品を作るには難易度は上がった気がします。

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