白デカールを刷ってみる – テプラデカールの研究: 1

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前回の序説で、テプラデカールは年々製作環境の維持が困難となるアルプスのマイクロドライプリンターを代替しうるものである、と云うところまで述べた。
今回は最初の一枚として、他方式に比べての目立つ長所である白印刷に挑戦してみる。


具体的手順としてはチキン ユウ氏のまとめが詳しいので、本稿ではそれに倣いつつ補足を交えてゆく。

1. テプラの入手

当たり前だろ、と云うツッコミがありそうだが実は大事。
テプラは価格帯によって解像度が異なり、デカール印刷用で実用に耐えるのはハイエンドの高精細機種のみ。具体的には普及機が180dpiでハイエンド機が360dpi
180dpiでは印刷の輪郭に肉眼で明らかにそれと判るギザつきが確認できる。

ちなみに、テプラ以外にも同種のラベルライターが存在するが、カシオのネームランドはハイエンド機でも解像度が200dpiと印刷品質的に厳しく、ブラザーのラベルプリンターのハイエンド機は解像度が360/720dpiと解像度に優れる反面インク色が少ない。あと、機能とは関係ないがブラザーのサイトは情報が超絶探しづらいので猛省を促したい
総合的に見るとテプラが扱いやすく、また地方でもカートリッジの入手性が良い。

解像度と共に、導入時気を付けるべきはPC対応。
キーボード付きの機種にはPCからの入力に対応していないものがある。
執筆時点では、高精細モデルはすべてPC対応なので気にする必要はないが、将来的には高精細かつPC非対応のものが出てくるかもしれない。
私が導入したのはSR5900Pで、以降の写真はいずれも5900Pにて製作したものである。

2. データの作成

PC対応モデルのテプラでは、専用編集ソフト (以下「SPC」) で用意されている記号・図形類や通常の文字の他、任意の画像を取り込める。
単純なマークや番号なら文字や図形の組み合わせで作れなくもないが、デカール作成では画像取り込みが主となるだろう

取り込み画像の解像度によるテプラ出力画質の違い 赤丸で囲った部分に原稿解像度の差が顕著。

上写真は同一の図案をテプラの解像度等倍である360dpiと、その倍・4倍でそれぞれ取り込んで同じサイズで出力したもの。原因はよく判らないが、解像度等倍では輪郭に粗さが目立ち、720dpiでも斜め部分にギザギザが残る。実用的な精度を出すには4倍の1440dpiで作成した画像をテプラに取り込み、SPC上で縮小する必要があるようだ

3. カートリッジの加工

これについては、前述のユウ氏のまとめ内で写真入りにて詳しく解説されているので、基本的な手順はそちらをご覧いただくのが早い。

テプラカートリッジにデカールをセットする 写真のように、ロール外側にデカール面が来るようにセットし、カートリッジに戻す。

実際に試してみると、本来のテープに刷ったときに較べ、印刷のカスレが目立つ。

テプラデカールのカスレ 前掲の画像データを同条件でデカールシートに刷ったもの。理屈の上では細い線も綺麗に刷れる筈だがボロボロである。

何故だろうと思いカートリッジの構造を今一度眺めてみて、デカール台紙が厚すぎてサーマルヘッドの圧着がうまく行っていないのではと気付く。
写真のように、テープを挟んだヘッドの反対側にはゴムローラーがあり、ローラーにヘッド全体がしっかり押し付けられないと均一なインク定着が得られないのではないかと思う。

テプラのサーマルヘッドとゴムローラー 前掲の画像データを同条件でデカールシートに刷ったもの。理屈の上では細い線も綺麗に刷れる筈だがボロボロである。

そこで、短冊に切ったデカールシートを出来る限り薄くしてみる。

デカールの裏紙を薄く削ぐ まずは裏側からナイフの先端を使い何層かに分けて裏紙を剥がす。粗方薄くなったら、粗めの紙ヤスリで破れる直前まで追い込む。

数値的にいくら、と云うのは示せないが、本来のテプラテープにほぼ等しい薄さと柔軟性になるまで削ったら、見事綺麗に刷れた

テプラデカールのカスレ 上段が先ほどの失敗作、今度は細い線まで欠けることなく刷れた。その差は歴然である。

4. 白を発色させる

テプラ白インクの隠蔽力 黒に白インクのみを重ねた場合、完全な無彩色ではなく青みのグレーになることに注意。

これはデカールに刷らない場合も同様なのだが、テプラの白は隠蔽力が弱い
この画像はデカールシートではなく、透明ラベルに刷ったものなのでデカールではまた多少結果が変わるかもしれないが、黒下地でちゃんと白く見える程度に発色させるには少なくとも3枚重ねが必要。
金インクは隠蔽力が抜群だが、白の下地として使うと黄色みの発色が強すぎ、オレンジ色に見えてしまう。
隠蔽力と色味のバランス的に、銀インクカートリッジの発売が待たれるところ。

テプラ白インクの隠蔽力 白1枚だけでは赤みが出るが、2枚重ねで完全に無彩色に。

今回はテスト用にHGUCジム改に貼ってみたが、下地が中明度の赤 (修正マンセル 5R 5/10あたり) ならば、白2枚で充分に発色する
但し、位置合わせがシビアで、特に細かい文字をピッタリ同じ位置に貼るのは至難の業。
可能ならルーペで拡大しつつ作業する方が良いだろう。

2枚重ね時の隠蔽力はハイキューパーツのコーションデカールとほぼ同程度。
デカールの段差は目立つが、ツヤを消すと多少目立たなくなる。

テプラデカールの段差 赤丸のあたり、写真でも段差が判る。


さて、発色の項でちらと触れたテプラに無い銀色インクだが、実はユウ氏が実現している。
解像度に劣るネームランドだがテープの色数には恵まれているのだ。そこで、テプラには無い銀のインクリボンをテプラカートリッジに移植すると云う裏技、と云うか荒業。

テプラとネームランド、2本分のカートリッジが必要となる上にリボンの巻き直しで加工難易度が上がるが、唯一無二の手段である。
前述のとおり、暗色の上に白をきちんと発色させるには3枚以上の重ね貼りが必要で、仕上げ面の平滑に拘るならそれ相応の手間がかかる。
銀で下地を作れるなら恐らくは上に白1枚で完全な発色が得られるはずで、費用や手間を度外視しても美しい仕上がりを得たいなら移植を試みる価値はあるだろう。

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