「陽炎型」+「白露型」で、今日的クォリティの1/700「朝潮型」をつくる: 前篇

WLシリーズのリニューアルがほぼひと段落した感のある昨今、駆逐艦はアオシマひとりが気を吐いており、他2社がリニューアルに手を付ける気配がない。

そこで、仮想新キット、と云った趣旨でアオシマ「陽炎」+フジミ「白露」を使って「朝潮型」を作ってみた。


「陽炎」と「白露」、足して2で割ると「朝潮」?

ご存知の方も多いと思うが、「白露型」で中型駆逐艦の限界を感じた日本海軍が、条約脱退と共に再び特型並みの船体に「白露型」を拡大再設計したのが「朝潮型」である。

そして、「朝潮型」の実績を基にした改良型が「陽炎型」であり、この3クラスの駆逐艦は形状的共通点が多い。ならば、「陽炎」と「白露」の新キットを組み合わせれば手軽に「朝潮型」になるのではと云う発想である。安直!!

「山風」「満潮」「野分」の比較
全体のバランスは「陽炎型」だが、煙突から発射管にかけては「白露型」に近いのが判ると思う。

ピットロードの「朝潮」ではダメなのか?

ここまで読んで、ピットロードの「朝潮」が有るではないか、と思われた方も多いだろう。
ピットの「朝潮」は、図面と並べる分には大きな誤りは無いのだが、魚雷発射管の盾が部品共通化の都合で別物なのと、艦橋や船首楼のライン取りが微妙で写真と比べるとイマイチ似てない印象がある。

アオシマ「陽炎」+フジミ「白露」による「朝潮」と、ピットロード「朝潮」の比較ニコイチ版とピットロード版の比較。艦橋のバランス感の違いに注目。

以前であれば、それでも価格的にニコイチより経済的だったのだが、現在、ピットの「朝潮」はフルハル化に伴いアオシマ「陽炎」の倍の2,160円 (税込) となっており、アオシマ「陽炎」にフジミ「白露」1隻分の1,296円 (税込) と合わせた価格と大差なくなってしまった。
発射管の盾が地味に手の掛かる改造になるため、似せる方向性だとピット「朝潮」はあまりお勧めできない

実際に足して2で割ってみる

さて、合体の内訳である。
「陽炎型」の「野分」と「白露型」の「五月雨」、それに「朝潮型」の「荒潮」の図面を同縮尺で比較すると、「朝潮型」の船体と艦橋のラインはほぼ「陽炎型」と合致し、船首楼の長さが目立つ相違点
そして、前後煙突と基部のケーシング、魚雷発射管の盾は「白露型」とほぼ同一で、こちらは缶が増えた分、煙突断面が目立つ相違だ。

故に、基本的な組み合わせは下記の通り、「白露」の煙突と発射管を「陽炎」に移植、となる。

アオシマ「陽炎」+フジミ「白露」による「朝潮」ニコイチの概略、赤が「陽炎」で、青が「白露」を使うところ。

難所は、「陽炎型」船体からの缶室ケーシングの撤去と船首楼の延長で、ここさえ乗り切れば後は楽。幸い、切断跡はほぼ隠れてしまうので、ニッパーで荒切りしたあと、雑にプラ板で蓋をしてやるだけで構わない。

缶室ケーシング跡地を平らにしたら、船首楼を延長。「陽炎型」の船首楼後端はまっすぐ横イチだが、「朝潮型」は中心線の缶室吸気筒を抱えるように両舷だけ後ろに張り出している平面形は、前後4.5mm・前幅3mm・後ろ幅2.5mmの台形である。

アオシマ「陽炎」を「朝潮型」とする場合の船首楼延長部
張り出し内側のR部分が面倒だが、短艇に隠れてしまうので省略しても目立たない。

そして、魚雷軌条の形状が若干異なるので伸ばしランナーで修正。予備魚雷函の位置が違うので、軌条の配置も異なるのだ。

アオシマ「陽炎」+フジミ「白露」による「朝潮型」の魚雷軌条全て作り直しはハードル高いが、これくらいなら失敗しても怖くない。

それ以外のパーツ毎の割り当ては以下の図を参照のこと。

アオシマ「陽炎」+フジミ「白露」による「朝潮型」のパーツ割り当て両者の部品の割り当てと加工部分。

後檣基部の甲板室は小パーツが集中しているので拡大図解を。

アオシマ「陽炎」+フジミ「白露」による「朝潮型」の後檣基部自作や社外パーツを含むので難しく感じられるかもしれないが、ジャンクパーツで代用してもOK。


さて、今回は1記事で完結させる予定だったのだが、思いのほか長くなったので前後編に分けることにした。前にもあったな、こんな話。どうも年を取ると話が長くなっていかんね。
……ん? この結びも前にやったような?? まったく、これだから歳は (以下略)

「「陽炎型」+「白露型」で、今日的クォリティの1/700「朝潮型」をつくる: 前篇」への2件のフィードバック

  1. こんにちは由良之助です。早速ですが「荒潮」の感想です。
    朝潮級はなかなか難物だと思います。個艦の識別点はあまり無く、写真も多いとはいえずイメージを掴みづらいフネですが「陽炎」をベースとしながら朝潮級と主張できる納得の造形となっています(『陽炎とは違うのだよ陽炎とは』と、呟かれたのかは定かではありません)。
    「荒潮」としたのは唯一図面の残っているフネだからでしょうか。

    第十八駆逐隊を再現するのならば朝潮級(霰・霞)と陽炎級(陽炎・不知火)の形態表現を近づけたいものですが必然的にニコイチとなるわけで、
    ①ピットロード版で揃える
    朝潮級はわりとまともだが陽炎級はちょっとアレなので朝潮を短船首楼にして陽炎のエンジンケーシング・煙突・甲板室を移植してまともな陽炎級を・・・→折角の鉄甲板の滑り止めを保全するのが困難(ピットロードを使う意味が薄れる)・朝潮級も魚雷発射管はフジミ白露から調達しないと「まとも」にはならない・現行製品だとコストが・・
    ②フジミ版で揃える
    陽炎級と白露級を組み合わせれば朝潮級が出来そう→陽炎級を対空兵装強化前に戻すところから始める必要がある・陽炎級のディティールの保全は困難なのでディティールバランスはイチから考え直し(レイテ沖海戦時「霞・不知火」にするなら少しは楽?)
    ③ハセガワ版は書くまでもなく
    と、いうことでフジミ「白露」とプロポーションの良いアオシマ「陽炎」のニコイチ朝潮級というモデリングも魅力的な選択肢となります。残り部品では何も作れないので私のような貧乏性には度胸を要しますが、ちゃんとした朝潮級を作るにはフジミ「白露」の魚雷発射管は絶対必要ですからこのようなモデリングもおおいにアリでしょう。ニ(サン?)コイチ製作を得意とする(?)春園燕雀様らしいともいえます(スツーカの完成も心待ちにしております)。
    しかし②のパターンならフジミでも出せそうで、白露級と陽炎級のパーツを一隻分づつ入れて改造要領書を添付して・・本当に出したら顰蹙を買いそうですが自信の無い方は普通に作れば白露・陽炎が一隻づつ手に入るわけで、そう悪い話では無いと思います(「むらさめ」に追加パーツを付けただけの「たかなみ」のキットの例もありますし・・)。
    春園燕雀様の書かれた改造要領書が付くのならば私は買います。

    春園燕雀様の作品の良さは全体形や色彩の見せ方にありますがHJ誌の写真ではいまひとつ明瞭ではありません。と、いう訳で秋葉原工作室へ見学に行ってしまいました。ここで春園燕雀様と遭遇し、挙動不審人物となったのでした。この感想は後篇にて(私も相当に文章が長いです・・・)。

    沼の会の告知メールをいただきましたがその件はメールのほうにてお返事いたします。

    1. すみません、メールの方とごっちゃになっていて、こちらも返信済と思っておりました。
      仰る通り、荒潮にしたのは丸の図面準拠ゆえです。かの岩重氏ですら詳細な解説を省くほど個艦識別の難儀なクラスゆえ、他の艦にすると調査だけで1年コースになりかねないですから。
      フジミで揃える案、当初これも考えたのですが、フジミ陽炎型は1945年の雪風以外への展開を一切考えてない、大変潔い作りのため、大戦前半の姿の再現が困難と思い、アオシマを選びました。フジミが大戦前半の陽炎型を出してくれればやりやすくなると思うのですが……。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。