エアフィックスの新製品、B-1型をレビュウする – 1/72でJu 87 B「スツーカ」をつくる: 12

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コクピット内の工作が億劫で、スツーカを暫く放置していたら、エアフィックスから、改造せずともそのものズバリのB-1型が発売されてしまった
前評判は高かったが、果たしてその中身や如何に? そして、ここまで弄ったイタレリ版を捨てて乗り換えるべきか?? まずはエアとイタレリ、両者を比較し、そこから考えよう。


突然の72スツーカ戦国時代

連載初回、2014年末の時点では、エアフィックスの72スツーカは骨董品のB-2型のみだった。そこで、比較的新しいフジミとイタレリを比較した結果、プロポーションの良好なイタレリをベースに、B-2をB-1化していたのだが、折悪しく引き返せない辺りまで進めてからエアフィックスがB-1を発表。うーん、似たような流れ、艦船の方でも有った気が……。
しかも、ズベズダまでがB-2を発売、いったいなんなんだ ()

ここで、脇目もふらずイタレリ版に添い遂げて完成させるのが正統派スケールモデラーの筋なんだろうが、私はヘタレなのであっさりエアフィックス版を入手、とりあえず大まかに全体像を比べてみて楽そうな方で進める、と云う戦略的転進を行うことにする。

本当は、ズベズダ版も併せて入手して比較するのが良いのだろうけど、B-1のキットが出たのにわざわざB-2のキットを買うのもなあ、と思い今回は割愛。

平面形

チェックポイントは3つ。胴体のアレンジが強いエアフィックスに対して、主翼のアレンジが強いイタレリ、と云った感じ。

Ju 87 Bの実機写真と各社1/72の主翼平面比較 白線が実機の主要部、赤線がダイブブレーキ、それぞれの幅。青線がキットの対応箇所。[1]

イタレリ (タミヤ箱)
品名: ユンカース Ju 87 B-2/R-2 スツーカ
品番: 60776
エアフィックス
品名: ユンカース Ju87 B-1 スツーカ
品番: X3087
主翼外形 外翼後端折れ角が1.5mm程内寄りで、動翼左右の隙間が目立つ。
翼端の絞り込みはやや甘めだが全幅や脚間はほぼ正確。
要所の位置は実機写真にほぼ合致。
特に気になる要素は無し。
翼下装備 外翼後端折れ角とETC50の位置関係は概ね正確。上記折れ角の誤差分だけ内寄り。 ETC50の位置は正確、ダイブブレーキ外側の位置は正確で内側に1mm程長い?。
胴体 特に気になる要素は無し。 翼後端をピークにやや太めに感じられる。

この写真では、両者ともダイブブレーキとETC50ラックが後ろ寄りに見えるが、後掲の側面写真ではほぼ一致するので、私の写真の撮り方の問題だと思う。

全体的に主翼はエアが似ていて、胴体はイタレリが似ている
エアフィックスは、主翼のレイアウトは正確だが、胴体中ほどが太目な印象。
イタレリ外翼中央の折れ角部が内寄りな分、翼下装備がズレている

正面形

チェックポイントは3つ。正面形での外形把握はエアフィックスに軍配。但し、精度に難あり。

Ju 87 Bの実機写真と各社1/72の正面形比較 白線が実機の主要部で、赤線がダイブブレーキの幅。青線は3者の上反角。[2]

イタレリ (タミヤ箱)
品名: ユンカース Ju 87 B-2/R-2 スツーカ
品番: 60776
エアフィックス
品名: ユンカース Ju87 B-1 スツーカ
品番: X3087
主翼 外翼の上反角がやや不足し、左右不揃い。 外翼の上反角がやや不足し、左右がかなり不揃い。
胴体 キャノピー上端が角ばりすぎ。 気になる要素は無し。
主脚 気になる要素は無し。 脚柱部分が太く、やや内股気味。

実機写真と比較すると、両者とも外翼の上反角が不足気味である。
以前比較したフジミのキットもそうだったので、比較用の写真が飛行中で上がり気味なだけかもしれない。

胴体と水平尾翼の幅は両者正確

イタレリはキャノピー天辺角が角ばっているためやや頭でっかちにみえる。
また、先の平面写真でやや外にずれて見えるダイブブレーキが、正面写真では概ね正しい位置に見えるがので、これはキットの解釈で合っているのかなと思う。ただし、外側はETC50がずれている分だけ短い。

エアフィックスは、このキットに限ったことではないが、プラが軟らかすぎて、左右対称が出しづらい。何も考えず組むと水平垂直も上反角もかなり怪しくなる
写真でもその影響かかなり脚が内股になってしまっているが、多少基部に遊びがあるので、接着時にしっかり調整してやれば修正は難しくない。

下から見たとき長めに見えたダイブブレーキは、正面写真との比較では位置・長さとも正確に思える。これはたぶん私の撮り方の問題で、キットが正しいのだろう。
胴体中ほどが下から見るとやや太目だったが、正面から見ると違和感はない。また、主翼のプロポーションも前述通り正確なので、精度出しにさえ気をつければ、総じてイタレリ版より秀逸

側面形

チェックポイントは3つ。機首形状はエアフィックス、キャノピー以降はイタレリが似ている。

Ju 87 Bの実機写真と各社1/72の側面形比較 黒線が実機の主要部の長さで、赤線が高さ。青丸が主な相違点。[3]

イタレリ (タミヤ箱)
品名: ユンカース Ju 87 B-2/R-2 スツーカ
品番: 60776
エアフィックス
品名: ユンカース Ju87 B-1 スツーカ
品番: X3087
機首 全体に凹凸が不足気味で平板な印象。機首上面インテークの形状に難。スピナーがやや大きめ。 特に気になる要素はなし。機首上面インテークはそこそこ似ている。
キャノピー 前席後端の段差部分の後退角がやや強い。 下端と後端が下がり気味で、相対的に前端が上がり気味に見える。
後部胴体・尾翼 特に気になる要素はなし。 キャノピーからの流れで背が低いが、基軸より下が長く、全体的には太目。
また、尾翼が前方に長く、面積が広い。

なんと云っても、イタレリもフジミもイマイチだった機首上面のインテークは、エアフィックスだとかなり良い形状
正面写真との比較では、機首上面にもう少し丸みが欲しい気もするが、間違いなく現状の72キットの中では上位の出来

イタレリとエアフィックスの1/72 Ju 87B機首形状比較 機首上面のインテークとアウトレットの表現は、エアフィックスが格段に良い 。

キャノピー以降はエアフィックスはかなり癖の強いアレンジで、表の要素を総合すると尻尾が逞しく、全体にゴツいシルエットに見える。
一方、イタレリのキャノピー以降はかなり似ていて、シルエットは申し分ない
ただし、キャノピーの枠が極太かつ、後席開閉部の境やアンテナ穴の位置も出鱈目なのは減点。ここをキット指定のまま塗るとすごくオモチャっぽいので、キャノピーだけでもアップデートされないものか。

エアフィックスキャノピーは、前後方向のプロポーションは正確で、枠の表現もややくどいが妥当な太さ。ただ、表のとおり、縦方向のプロポーションがおかしい。また、抜きの関係で横枠のモールドの下端が曖昧になっているので、塗り分けの際は注意が必要だ

総評

総合的なキットの出来としては、新しい分、エアフィックスの方が良い
モールドもさることながら、パーツの分割もタミヤのキットにみられるような、できるだけ整形が楽になったり、組みつけがしやすいような配慮が嬉しい。イタレリも5年前くらいのキットの筈なのだが、90年代的な割り切ったパーツ割で、悪くはないが褒めるべき点もない感じ。
また、前述のインテークや脚部スパッツ外板の重なり感など、ディテール処理のセンスはエアが数段上。
※ ゆりつか氏のコメントにより、イタレリスツーカの初出は96年と判明。90年代的な、と云う印象はまさにそのものだった訳だ。

あと、エアフィックス版は搭乗員フィギュアに加え、操縦室内の内張りも付属しているのが良い。イタレリは側壁がのっぺらぼうで、これを再現するのに飽きて、春先から手が止まっていたのだ ()

一方、エアフィックスの宿命として、妙に柔らかいプラの所為で、折角の分割の妙にもかかわらず水平直角が出し辛く、長物パーツの反りも目立って組み辛い
故に、単純な組みやすさの面では、実はイタレリの方が勝るかもしれない

外形のアレンジでは、後半部を中心に四角くガッチリしたエアフィックスと、外翼の長さを強調してスラリとしたイメージを強調したイタレリ、と対照的。

とにかく実機に似せたいなら、イタレリベースにディテールアップ、キットのディテールを活かして組むならエアフィックスの方が雰囲気が良いと思う。


エアのキットが出たらゴミ箱行きかな、と思っていたイタレリ版だが、こうして比較してみると、機首上面インテークと窓枠さえ良い感じにできれば、まだまだいけるのではないかと思った。

では私はどうするか? 3機小隊の内、1機は従前どおりイタレリベースで進めるとして、1機はエアフィックスを小修整残り1機はイタレリ+エアフィックスの良いとこどりができないか試してみようと思う。

キャノピー~後部胴体はイタレリを使うとして、機首はエアフィックス、ここまでは確定。主翼はできればエアを使いたいが、胴体との接合をどうするか、と云うのと、脚はイタレリを使いたいので、ここも接合の問題が。
次回はこのあたりのアレンジをどうするか、からかな。


写真引用元

    1. 春園燕雀 投稿作成者 | | 返信

      おお、流石スツーカマスターの百合塚さん! ありがとうございます。
      GありきでB/Rに展開してたんですね。
      96~7年となると、ハセのAP帯の終わりごろと同期ですね。パーツ割の密度とか、あのあたりに近い印象だったので納得です。

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