エアフィックスとイタレリ、良いとこ取りでニコイチしてみる – 1/72でJu 87 B「スツーカ」をつくる: 13

前回まとめた通り、エアフィックスとイタレリの1/72 Ju 87 Bを比べると、両者一長一短である。
そこで、両者の良いとこ取りができないものか試してみた。


機首と主翼の基本形状、武装や全体的なディテールではエアフィックスが勝り、胴体とキャノピーの基本形状はイタレリに軍配が上がる。故に、エアフィックスをベースとし、エンジン隔壁以降の胴体をイタレリにしたい。

まず、機首は驚くべきことにほぼ無改造でフィットする。
主翼は、胴体下面の分割位置が異なるため、エアの翼下面パーツ後端を切り詰めてやる必要が出てくる。

エアフィックスの1/72 Ju 87 B-1主翼を付けた場合の、イタレリB-2胴体干渉部分
どうせ見えなくなるので、ニッパーや金ヤスリでゴリゴリやっても大丈夫。

また、翼内の主桁が干渉するため、イタレリ胴体の主翼断面部分も大きく削ってクリアランスを取るのと、操縦室後端あたりの内壁も多少削り込んで空洞を広げてやらねばならない

イタレリの1/72 Ju 87 B-2胴体に、エアフィックスB-1の機首と主翼を合成
クリックで拡大。灰色がエアフィックスで茶色がイタレリ、ただし、窓枠は灰色だがキャノピー本体はイタレリ。

実際に組み合わせたのが、上写真。
エアフィックスの方が翼付け根と胴体が太いため、上から見ると主翼後端が余り、上面後半には最大0.5mm程度の段差ができる。

エアフィックスの1/72 Ju 87 B-1主翼を付けた場合の、イタレリB-2胴体の隙間
厳密にやろうとするとエアの主翼パーツ側の胴体ラインを削り込むことになり、かなり大変。

また、下から見るとこの通り、1.5mmほど胴体に隙間が空く。
前回述べたとおり、胴体幅はイタレリのように細いのが正解なので、上面はイタレリの幅を維持し、下面だけこの隙間部分にプラ板でスペーサーをかませて辻褄を合わせることにする。

Ju 87 Bの実機写真と各社1/72の主翼平面比較
前回の比較写真より。エア版は実機に比べると胴体ががっしりしている。[1]

これにより、やや胴体が肥ってしまうが、上端の幅は変わらないため、上から見ると依然エアのキットより細く見える。

イタレリとエアフィックスの1/72 Ju 87 B胴体幅比較
先の写真の通り、イタレリ胴体は下面の翼付け根で1.5mm程太らせているが、それでもエアとこれだけ印象が違う。

エアは正面から見るとやや脚が太いのだが、そのためだけにイタレリと付け根ラインを合わせるのは大変だし、後半のラインはエアの方が良い曲面を出しているので、エアの脚を採用。

Ju 87 Bの実機写真と各社1/72の正面形比較
これもの比較写真より。タイヤ覆いの幅はほぼ同じだが、主脚部分はエアがやや太い。[2]

イタレリより格段に出来が良いとはいえ、やはり機首上面のインテークまわりはライン取りが難しいようで、ここは以前のイタレリ改修版同様、パテと削り込みでラインを整えた。

Ju 87 R-2後期型の機首上面 以前掲載した、インテーク付近の写真。写真はR型だが、機首部分はB型も同形状。

エアフィックスの1/72 Ju 87 B-1の、機首上面インテークの修正
ほぼ別物だった先発他社キットよりかなり似ており、こだわりが無ければそのままでも良いと思う。


当初、パッと見で合いそうだった機首はともかく、主翼はかなりの難工事になった挙句、キット2つをお釈迦にするのではないかと危惧していた。
だが、実際手を動かしてみると思いのほか相性が良く、特にエア版のゴツい胴体が好みではない方は、これだけで大きく印象が化けるのでお勧めである。

但し、連載序論で述べたように、イタレリ版のキャノピーは極太なうえに塗り別け辛い窓枠モールドと云う大きな難点があるため、窓枠を割り切って作り直せる人でなければ、却って野暮ったい印象になるので気を付けよう。

イタレリとフジミの1/72 Ju 87 Bディテール比較
連載序論から、イタレリの凶悪な窓枠。極太なうえに後席の境目やアンテナ穴の位置も違うため、初見の印象はかなり悪かった。


写真引用元

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