ふたつのキットの表現を比較しつつ、コクピットにディテールを加える – 1/72でJu 87 B「スツーカ」をつくる: 14

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今回は、エアモデルの華? コクピット内の工作。ここにコダワリを見せるモデラー諸氏も多いが、私はあまり興味が無い。
とは云え、スツーカの場合はキャノピーが大きく、完成後もそれなりに中身が見えるので、見える範囲で頑張ってみた。


イタレリ版の構成は、床面に前後席各1パーツと操縦桿、計器盤に、無線機とロールバーを一体化した前後席隔壁で、90年代の1/72大戦機キットとしては可もなく不可もないパーツ割。
単発戦闘機なら、これで人を乗せてキャノピーを閉めると全く見えなくなってしまうところなので良いのだが、Ju-87は大きなキャノピーの所為で割と内部が見える。
特に、左右内壁に何もないのが目立つので、最低でもここだけは何とかしたいところ。

1/72 Ju 87 B の室内を外から 内壁工作中のイタレリ版を外から。追加工作したハンドルの形がそれと判る程度には、外から室内が見える。

エアフィックス版は最新キットだけあり、左右内壁のモールドが一体成型で巧みに再現されている。ただし、エアの常でエッジはややヌルめ。床面は胴体ではなく主翼側に組み付ける方式で、主桁を別パーツ化することで、床面に走る主桁モールドを再現しつつ主翼の補強も行っており、こう云う実機の構造を組みながら実感できるつくりは良いね。

無線機とロールバー

スツーカのコクピットで最も目立つのが、前後席間の無線機とロールバー。
両キットともパーツ化はされているものの、成型の制約などからちょっとイマイチ。
もし最低限のディテールアップで済ませるなら、この部分をピンポイントで弄るのがおすすめ。

まず、実機では両キットの様に無線機とロールバーはつながっておらず、無線機は床から生えたブラケットに、ロールバーはキャノピー内壁にそれぞれ固定されている。
また、無線機の左には用途は不明だが箱状の機器が2段重ねになっており、恐らく左側壁に固定されているように思われる。

Ju 87 Bの無線機周り
後席から前方を望む。よく見ると、無線機とロールバーは繋がっていない。[1]

イタレリ版では板状の隔壁で前後席間を隔ててあるが、上写真の通り、隔壁は存在しない。無線機はモールドは良い感じなのだがやや小さい。また、取付角度もキットの様な水平ではなく、実物はやや手前に傾いて取り付けられているのが写真から判る。

エア版のように主翼の主桁上に設置されている無線機だけで隔てられている構造の方が正しい
こちらはサイズ・角度とも妥当。
ロールバーは両キットとも前面のみ再現しており後方に延びる支柱は省略、また、成型上の限界かかなり太めだが、これは仕方ないところだろう。

1/72 Ju 87 Bのの無線機まわり比較
イタレリとエアの無線機まわり比較。エアの方は計器のモールドも正確で、ちゃんと傾きが再現されている。イタレリのロールバーはD型と混同されているようだ。

公式資料は見つけられなかったが、海外の模型フォーラム? に操縦室レイアウトの図版が掲載されていたので、イタレリの無線機はこれを参考に一回り大きめにプラ棒で自作した。エアフィックスの無線機も心持小さいが、角度もついているし許容範囲なのでそのまま。

この図版自体が、何かの書籍の引用らしいが、語学力の問題で詳細は不明。[2]

上記を元に再現した無線機。

無線機左の謎箱2つは、イタレリは省略、エアでは多少小ぶりなので、いずれも先の図面や写真を目安にプラ棒で新造。

ロールバー部分は両者とも無線機と一体かつ太めなので、キャノピー部品側に0.5mmと0.3mmのプラ棒で再構築し、後方への支柱も追加。

固定部の内側。前面のロールバー下端から後方頂部、そしてそこから下端へ細い支柱が伸びる。

座席と計器板

エアの計器盤はデカール仕上げではあるものの、妥当な形状。イタレリの計器盤は、キットだと直立しているが、実物はやや傾いているので、上下段差部分で軽く曲げて傾かせる。また、キットの計器盤の輪郭は胴体に内接するように弧を描いているが、先の図のように実際には角ばった輪郭なので削り込んで修正

固定部の内側。前面のロールバー下端から後方頂部、そしてそこから下端へ細い支柱が伸びる。

前席シートは両者とも良いモールドだが、何故か形が別物。イタレリのヘッドレストと防弾板はB型の写真では見かけないので切り取ってしまう。先のロールバーと併せて考えると、イタレリ版はこのあたり丸ごとD型の資料で作ってしまっているのかも。
以前の比較記事のコメント欄に貼られたリンクによると、イタレリB型はD型からのバリエーションキットらしいので、省力化のため敢えて目を瞑ったとも考えられる。

側壁と床

イタレリ版の左右側壁は見事なのっぺらぼうなので、先の図面と写真を参考に、人に隠れない範囲だけ機器類とフレームを再現した。
後席右には機銃の予備弾倉が取り付けられており、串刺し状に連なっているが、これを一つ一つ手作りするのは大変なので、串刺し状態のアウトラインを一体で作成し、帯状に切ったマスキングテープを隙間を開けて貼り、複数に見せかける。

エア版は前述のとおり、一体成型ながらも内張りが再現されている。図面とは機器のレイアウトが異なるのだが、どちらが正確なのか写真からは判然としないので、エア版とニコイチ版ではレバーを追加したのみでレイアウトはそのまま。

1/72 Ju 87 Bのコクピット内壁 人を乗せない場合は、座面の横くらいまで再現した方が良いかも。

1/72レバーの再現1 1/72レバーの再現2 小ネタ。ライターでプラ棒を炙って先端の丸を表現。瞬着やパテに比べて再現度は劣るが、とにかく量産性が高い。

また、先の図によると、イタレリ版は床面にモールドされた諸々の位置が全体に前寄りなので、床前端を2mm延長して後端を2mm詰めた上で、無線機の載る主桁を設けてやると良い。

主桁の寸法は、上記の修正を施した状態で段差から後ろ2mmの位置に後端が来て、前後が2.5mm、高さは後部床より3mmで、前方に密着するように1mm角の胴体内の桁がある。

イタレリ1/72 Ju 87 B の床板の修正 キット状態では特に計器盤が奥まって見えるので、塗りに自信がある人におすすめ。この修正で計器盤を見せやすくなる筈。


上記のとおり、今回は確度の高い資料が手に入らなかったため、歯切れの悪い説明になってしまった。今まで自覚していなかったのだが、私は完成後の外形に影響しない箇所になると極端に興味を失ってしまうらしい。
春先からコクピットを弄り始めたのに、少し作業すると飽きてしまうので、その間にエアフィックス版が発売され、遂に秋になってしまった。やはり、調査も工作もテンションの高いうちに完遂できる範囲にとどめておくのが一番、と痛感した次第。


参考ウェブサイト

すべて敬称略。

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