突然だが、カッティングマシンを買ってみた。
世の中には、コレで鉄道模型の車両の窓枠を切り出すような剛の者も居るらしいのだが、志の低い私は、まずは直線に切る、と云う基本機能で、どこまで応用が利くか、と云うのを試してみる。
要は、手作業で細い帯材を切り出すのに疲れたのだ (笑)
そもそも、「カッティングマシン」とは何か?
別名、「カッティングプロッタ」とも呼ばれ、元々はカッティングシート等をデジタルデータに基づき切り出しする、業務用機械である。
近年は、手芸・ハンドメイド雑貨方面にニーズがあるらしく、機能や精度を抑えて数万円クラスに落とし込んだ、民生仕様のものが出回っている。
有名なものでは、ローランドのSTICA (スティカ) シリーズがあるが、今回は、ツイッタァ上で親交のあるシチリン氏がすでに模型用途に使っていて、プラの加工実績が確認できたシルエットカメオを購入した。
こんな感じで、一見、手差し式のプリンター風。
今回、購入に踏み切った目的は二つ。
- 1mm幅以下の帯状プラ材を量産したい。
- 等間隔のスジボリ入りプラ板が欲しい。
極細の帯材を高精度で手軽に量産
今まで、0.3mm幅くらいの極細素材が要る時 (小艦艇の舷外電路や、レシプロ機動翼のリブテープなど) は、プラペーパーを手で切り出してきたのだが、加齢で眼も手も衰えが始まっており、実用精度で切り出すための歩留まりが極めて悪く、これを機械化できないかと云うのが出発点。
身体能力下り坂のオッサンは体力も時間も減る一方、ならば頭とカネで補うのだ。
また、今まで愛用してきたホビーベースのプラストライプの0.14mm×0.5mmや、0.14mm×1mmが、現状、長期欠品で再入手の見込みが無く、完全に手持ちを使い切る前に次の手を打たねば、と云うのもある。
で、どこまで細幅の物が作れるか、実験。
旧バージョンはイラレで原稿が作れたらしいが、現行機では付属ソフトによる描画のみに対応、ただ、今回は直線を等間隔に引くだけなので問題なし。
紙製ラベルゆえの追従性の良さ。瞬着浸透後は色が暗くなるので、浸透漏れの心配もなし。
基本の直線ツールだけで0.3mm幅に紙製ラベルを切り出して貼り付けてみたものがこれ。プラより紙の方が曲線への追従性が良く、また、表面がコートされたラベルを使うことで、紙特有の毛羽立ちや凹凸も無い。
0.3mm幅では、カット直後の連なった状態では多少、幅にばらつきが有るように感じられるものの、一旦バラして貼ってしまうと気にならない。
すくなくとも、手作業よりは断然精度が良い。
これを所定の長さに切り出して貼りつけ、位置が決まったところで瞬着を染み込ませて固着させる。
瞬着浸透後は、ほぼ樹脂と同じ感覚で表面処理が可能だ。
表裏両面に色の着いた窓枠を作る
次は応用編、透明PPラベルで航空機の窓枠を作ってみる。
紙製ラベルゆえの追従性の良さ。瞬着浸透後は色が暗くなるので、浸透漏れの心配もなし。
透明ラベルであれば、機内色→外板色と塗り重ねることで、元のラベルの糊を活かしたまま、機内色の表現ができるのだ。
PPと云う事で塗膜の食いつきが気になるが、表面にインクジェット印刷用の加工が施されており、軽く爪でこすった程度では剥がれない、良好な食いつきである。
但し、2次曲面や3次曲面に追従できるほどの伸縮性は無く、写真の天蓋後端のような形状では、アルミ箔やプラペーパーなど、ある程度伸縮性のある素材で使い分けた方が良いと思う。
また、位置合わせで何度も曲げ伸ばしをしていると、流石に塗膜が剥離してくるので、できるだけ一発で位置決めをしたい。
今回使った2種のラベル。家電量販店などで手に入る、変哲のないもの。
等間隔でスジボリの入ったプラ板をつくる
何じゃそりゃ? と思われるかもしれんが、要は、艦船模型用にリノリウム押さえの幅にスジの入ったプラ板が欲しかったのである。
プラ板の場合は、加工の制約上、基本的に完全な切り放しではなく、スジボリ状の加工になる。ならば、スジボリに使えないかと云う発想だ。
接着剤の所為で溝の深さが不均一になるため、スミの流れ方がイマイチ。
今までは、2.5mm幅のプラストライプを敷きつめて凹線を作っていたが、前述の入手難に加え、深さが不均一で目地にスミ入れした際の仕上がりがイマイチだったので、カッティングマシンなら均一な仕上がりが期待できるのではないかと。
で、試したものが下記。
写真では判り辛いが、まさかの凸モールドに!!
無塗装でスミ入れした感じだと、バッチリだったのだが、塗装してみるとエアブラシでもケガキ線が埋まってしまい、ケガキ線のめくれの為に、凸モールドになる。
要は、昔からある、カッターナイフによる凸モールド再生術に近い仕上がりだ。
私は、凹モールドにスミ入れで目地表現したいので、この方法はボツ。
だが、一般的なインジェクションキットのリノリウム押さえモールドの凸線に極めて近い雰囲気で、スクラッチモデルで既存キットと同様の表現をしたい向きにはおススメである。
ちなみに、プラ板の素材をタミヤとウェーブの2種で試したが、いずれも凸線になるのは変わらなかった。刃の速度を変えても同様である。
と云った感じで、カッティングマシン応用モデリングの極初級編。
3万円弱の投資の割に、やってる事のレベルが低いが、従来、10本数百円くらいで購入していた極細帯状プラ板が、原価数円レベルで代替できる事が判ったので、とりあえず元は取れそうかなと云う感触。
云い方を変えれば、プラストライプやエバーグリーンの帯状プラ材を湯水の様に使う人なら、直線ツールの使い方を覚えるだけで、あっという間に元が取れると云う事だ。
ちなみに、ちゃんと描画ツールを使いこなせるようになると、こんな事ができるらしい。
カッティングマシンシルエットカメオさんでベアルンの飛行甲板ケガいてデザインナイフで切り取った結果がこちら。(使用したプラ板はエバーグリーン2020(厚さ0.5) pic.twitter.com/rmqZOZpfzW
— シチリン (@shitirinn) 2015, 2月 21
凄げェなコレ……。
次のステップとしては、スツーカの胴体コードレターや国籍標識のマスキングに使えるのでは、と考えているので、また追って報告したい。
普通ならここで、アフェリエイトリンクの一つも貼るところなのだが、それで金になるほど、このブログにアクセスは無い。多分、初期登録とかで時間と手間を喰う分、赤字だ。
よって、気になる方は「シルエットカメオ」でググってたもれ (笑)